第7話 同僚Aのアドバイス

同僚Aのアドバイス

 

 

私は出張へ行く事となった。
出張の交通費は会社から支給されるが、妻の少しでも安く済ませたいという願望で東京~鹿児島ほどの距離を車で行く事になった。

 

~出発当日~

 

私「じゃ、行ってくるね。家の事とか子どもの事とか大変だろうけどよろしくね」

妻「大丈夫。気を付けてね。」

正直、私は今仕事どころではない…。妻のあの電話が気になって出張など行きたくないが仕方がない。妻は離婚をしようとしているのか?この疑問を抱えたまま私は家を1ヵ月も空けなければならない。

次女「お土産ちゃんと買ってきてよ~」

長男「ポケモンがいい!ポケモン買ってきて!」

長女のアカリは、興味がないと言わんばかりにソファに座ってスマホをつついている。こんな時くらい…と思ったが、私は何も言わなかった。

 

休憩しながらだが、ほぼ丸一日運転していた。

運転中も考えることはあの電話の事。今はどうしようも無いのだが、どうしても悪い方向に考えてしまう。

 

 

もしかして…

 

男?

 

 

既婚者なら、急に離婚をチラつかされたら考えるであろう浮気・・・

 

しかし思い当たる男の存在などない。例の電話以外に妻に不審な行動も見当たらないし、そもそも子どもが3人いて毎日忙しくしているのでそんな暇などあるはずがない。

 

長い運転もそんなに長く感じなかった。会社が用意したワンルームのアパートに着き、少ない荷物を整理して答えのない疑問を解決しようと必死にスマホで調べた。

 

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など、今の状況では絶対に答えの出ないと分かっていた。しかし、どうにかしたい!解決したい!その気持ちが運転で疲れているはずの私を勝手にそうさせた。

 

 

案の定、ネット上に答えは無かった。むしろネット上ではマイナスな記事が多く、余計に私を不安にさせた。

 

 

明日から忙しい日々が始まる。私は、いつもなら飲まない強いお酒を飲んで無理矢理寝た。

 

出来る限り鮮明に伝えたいが、この時の辛さは言葉では表しにくい。辛いという言葉自体が違っているのかもしれない。分からないという事が辛いのだ。当たり前だったものが当たり前ではなくなるかもしれない。正直、自分がこんな状況に置かれている事が不思議でたまらなかった

 

 

出張先での仕事は忙しかった。そのおかげで考える暇もなかったので、仕事中だけは気持ちが楽だった。

 

そんな中、出張者の歓迎会が行われた。関係者などを含め大勢で食べ飲みした後、歳の近いグループから2次会に誘われた。

 

同僚A「大川さん!もう一軒行きましょう!」

同僚B「明日は休みなんでもちろん行きますよね⁉」

帰っても考え込んでしまうだけなので、私は喜んで参加した。

 

2件目はカラオケのあるBarだった。私はカラオケの気分では無かったので、カラオケ組とは離れてカウンターに座った。すると同僚Aも隣に座った。

同僚A「僕カラオケ苦手なんで、一緒にしっくり飲みましょ。」

 

同僚Aは私より一つ年下の気さくな感じの人だった。仕事ではあまり接点が無かったが、お互い車好きという共通点でかなり盛り上がった。

 

同僚A「大川さんが車好きってなんか以外だったな~。でもあんまり夢中になり過ぎたら嫁さんに愛想つかされますよ(笑)」

 

私は一瞬ビクッとした‼

 

 

もちろん今は家計的に車を趣味にする余裕など無い。しかしお酒を飲んで頭から離れていた嫁というワードが出てきて反応してしまった。

 

同僚A「僕、昔車に夢中になり過ぎてて当時の彼女に浮気された事あるんで(笑)」

 

「その時どんな感じだった⁉」

 

私は瞬間的に聞き返した

 

同僚A「え?どうしたんですか?いきなり」

私の勢いに驚いた同僚Aは不思議そうに私の顔を見てきた

 

同僚Aの反応を見て、私も我に返ったがこの人なら相談してもいいかもと思い色々と打ちあけ、聞いてみる事にした…例の電話の事、最近の家族の様子など詳しく説明した。

私の話を一通り聞いた同僚Aは真剣な顔で口を開いた

 

同僚A「大川さん、ぶっちゃけそれ浮気してますよ。」

 

私が今一番聞きたくなかった言葉だった

 

同僚A「でも!その電話が真実だったらの話ですよ。僕は結婚してないんで100%とは言えないですけど、友達にバツイチの奴がいるんです。そいつの話と大川さんから聞いた家族の感じがとても似てます。」

私「・・・・・そっか。」

同僚A「仮に奥さんが離婚しようとしてる事を前提としたら、逆に男以外に理由が見当たらないです。子どもが3人いる中、離婚して奥さん1人でって…普通に考えて無理かな~とも思います。」

 

同僚Aはハッキリとした意見を述べてくれた。

小一時間ほど話しただろうか。

おそらく同僚Aは客観的に的確なアドバイスをくれたと思う。私の為に真摯になってくれたのも伝わってきた。しかし私は、心の中で否定した。

 

妻に限ってそんな訳ない

 

 

矛盾なのは百も承知だ。そんな事は分かっている!分かっているが認めたくない!認めてしまったら全てが崩れてしまうから自分なりに無理矢理真実を捻じ曲げて納得していた。

 

別に証拠を掴んだ訳では無いし、
電話も聞き間違いかもしれない

 

そう言い聞かせながら帰宅した。

 

 

 

 

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