第36話 食事

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食事

 

その日、家には誰も帰っては来なかった
一応義母に電話した所、やはり妻と子ども達は実家に行っているらしい

 

義母「娘は浮気なんかしてないって言い張ってるけど…私もしっかり話してみるから。ごめんね」

ありきたりの言葉かもしれないが、今の私にとってはとても嬉しく感じた。

 

 

 

次の日、仕事が終わり帰宅すると家には妻の車があった。家に中には妻と子ども達が居た。当たり前の事だが、なぜか少し安心した

 

 

しかし、そんな気持ちもすぐに消える

 

私「ただいま~」

 

・・・・・

 

「あぁ、なるほど」

 

 

この一瞬で昨夜、妻と義親の間で交わされた話の結果が分かった

 

何も変わっていない

 

おそらく義親にも嘘をつき通したのだろう。こんなにも居心地の悪い家など世界中どこにもないと思う…。私は「今まで通りに過ごす」と決めたが、実際はかなり難しい事に気付いた。

自分を避けている相手に接するのは、想像していたよりもはるかに困難だった

そんな私は、まだ幼く現状を理解していないハルト(長男)の元へ行くしかなかった。ハルトの傍にしか居場所はなかった

 

 

妻「ご飯出来たよ!食べなさーい」

 

子ども達が妻の声に反応して食卓へと向かう。私も立ち上がり食卓へと目を向けると、テーブルの上には食事が4人分しか並んでいなかった

 

我が家は5人家族…

 

誰のご飯が無いかは言うまでもない

 

私はもう、「俺のご飯は?」と聞くことも出来なかった

昔クラスで、いじめやそれに近い経験をした人にしか分からないと思う。「バシッと言わないとダメだ!」という人がいるが、それは経験した事のない人間の言い分。

今、この空間に私は一人ぼっち

おそらく自分が発言しても、誰も反応しないだろう。間違いなく無視される…これは喧嘩などより100倍辛い

 

黙ってフライパンに残っている炒め物を皿によそって、茶碗にご飯を入れてテーブルに座った。

 

横の席の妻が、スッと距離を空けたのが横目に分かった

 

 

 

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